第一章

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入ってみれば特に怖いものなどなかった。 一応持ってきてみた携帯を覗くと、なぜか圏外になってはいたが。 何か妨害電波でもでてんのかな・・? 周りは見渡す限りの木、木、木・・・・。 確かに方向感覚はなくなっていきそうだ。 でも、木にしるしをつけながら進めば特に問題はないのではないだろうか。 そうして、振り返ってみると大して歩いていないはずなのに入り口が見えない。 一本道だった。 まだ迷うわけがない。 来た道を引き返してみると、突如霧が発生したのか前が見えない。 霧はどんどん濃くなっているようだ。もう前後の感覚もわからなくなってきた。 まさか。言い伝えは真実だったのだろうか。 今時・・・? すると一つの灯りが見えた。 霧につつまれた、そのおぼろな灯りに、心ならずもほっとする。 そちらへ、自然と足が向くが、ふと我に返る。 森を抜け出せないのが真実ならば、あの灯りの先には、件の吸血鬼が住んでいるのではなかろうか。 ・・・・かまうものか。 僕はその灯りを目指して歩きはじめた。
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