ザッキルテへの告白

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「ハルミエ先生。」 呼びかけられてアノーマは振り返った。保健室の入口に女生徒が1人立っていた。羨ましくなるくらいスタイルのいい娘だったが、今は腰を引いた妙な格好で、しかも擦り足で保健室に入ってきた。彼女のこんな姿を見たのは初めてではない。 「またですか、スナイツさん。」アノーマはあきれたように言った。 「あははは。」女生徒に悪びれた様子はまったくなかった。 「ベッドの上にうつぶせになって。」 言われた通りにうつぶせになったベラリア=スナイツは、制服のスカートをまくりあげると下着をおろした。女子校だからこういうところの遠慮はない。アノーマは形のいい臀部をまっすぐ横に走る赤い腫れを調べた。同じような腫れを彼女はこの学校に来てから何度となく見たが、そのたびに見事なものだとつい感心してしまう。 この女学校で実践されているメリキドル式の教育システムは体罰を排除していない。ただしそれをおこなえるのは校長1人だけだ。彼女は怒りに任せて頬を打つような真似はしない。その代わり懲罰用の鞭で臀部を実に的確に打つ。打たれた生徒は湿布でも貼ってもらわなければその日は痛みでとても眠れないほどだ。
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