ザッキルテへの告白

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広い部屋だった。 その中央に置かれた椅子に、1人の制服を着た少女が腰かけていた。彼女と向かい合わせに椅子がもう1脚置かれていた。 それがその部屋にある家具のすべてだった。それ以外は何もない、がらんとした部屋だった。 もう1脚の椅子にも人が座っていた。少女よりも背の高い、髪の長い女性だった。少女の制服と同じような服を着ていたが、どこかが違っていた。それにサイズが明らかに小さかった。 先程から一方的に話しているのは少女の方だった。相手の女性はその丸顔に穏やかな微笑みを浮かべ、ただ黙って聞いていた。子供のようなあどけなさの感じられる表情だったが、目尻に刻まれた皺は彼女が実はかなりの年配であることを伝えていた。 「彼女とは親友だったのに」少女が話していた。「なぜあんなことをしてしまったのか自分でもわからないんです。今はすごく後悔しています。心から彼女に悪いと思っています。」 そして少女は相手を見た。相変わらず穏やかな笑みだけがそこにあった。それを見ていた少女の目から、それまでの陰がすっと消えた。 「話を聞いてくれてありがとうございます。」少女は言った。
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