ザッキルテへの告白

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「あなたもご存じの通り」校長は続ける。「思春期の少女というのは大変精神的に不安定なものです。集団生活をするとなるとなおさらトラブルやストレスを経験することが多くなります。」 この校長にも不安定な思春期があったのだろうか、アノーマはちょっと考えてしまった。 「そこで生徒達の精神的負担を軽減するために必要とされるのが『聞き役』です。生徒達の悩みや不満、罪のざんげなど、人には言えない告白を黙って聞いてやる存在です。へたな助言や説教などしてはいけません。かえって生徒は反発します。彼女達が望むのはただ聞いてもらうことです。悩みの答は既に自分達のうちにあります。負担をすべて吐き出せば答はおのずと現れてくるのです。」 メリキドル校長はわかるでしょ、と言いたげに大きく頷いてみせた。アノーマもついつられて頷いた。それを確認してから校長は先を続けた。 「ただ、今言ったようなことが効果的にはこぶためには、『聞き役』の質が重要です。理想的な『聞き役』とはどのようなものか、父の代から試行錯誤がなされてきました。例えば、告白しやすいようにと、人間に似せた人形が使われたことがありました。」
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