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校長は首を振った。「でも駄目だったのですよ。やっぱり生身の人間でないと。ちゃんと自分の言っていることを聞いてもらえているという実感が必要なのです。」
それはそうだろう、とアノーマは思った。自分のやっていることを客観的に眺めてみたら馬鹿馬鹿しくなるに決まっている。
「ご高齢の聖職者の方にお願いしたこともありました。それもうまくいきませんでした。なんと言いますか、わかってるというような態度をとられると生徒は小馬鹿にされたように感じるみたいなんです。」
「ずいぶん難しいんですね。」アノーマは言った。
「本当にそうですよ。相手のいうことをちゃんと聞きながら何の反応も見せない者、そんな条件を満たす人間などいるはずないと思いました。その時ふと思いついたんです。」
「つまり…それが、脳の発達に問題のある…」
「そうです。」メリキドル校長は力強く頷いた。「施設をまわってザッキルテを見つけました。彼女はあらゆる点で理想的でした。気性が穏やかで暴れたりしない。何よりあの微笑み。最初に会った時から彼女はあの笑みを浮かべていました。今から20年ほど前のことです。」
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