ザッキルテへの告白

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保健室の窓から見える木々はその花をすっかり散らし、青々とした若葉を茂らせ始めていた。自分がこの学校に就任してからひとつの季節が過ぎようとしている、アノーマはぼんやりと外を眺めながらそんなことを考えていた。 その時、不意に窓の向こうにザッキルテの横顔が現れた。あの微笑みが長い髪を揺らしながら、ゆっくりと窓を横切っていった。 今ではもう慣れたが、初めてザッキルテの姿をこの窓に見た時の驚きをアノーマは思い出す。彼女が逃げ出して歩き回っていると校長に告げに走った。 「私達はザッキルテを監禁しているわけではありませんよ。」メリキドル校長はそう言って笑った。 「『聞き役』をやってもらう時以外は好きにさせています。生徒に危害をくわえたり授業を妨害したりしませんから。少し歩いたらいつの間にか自分の部屋に戻っていますよ。」 校庭を歩くザッキルテを女生徒達はいつも遠巻きに見ていた。彼女のような存在は少女達にはやはり不気味に感じられるようだ。だがその中には彼女に秘密を告白し、それを脳の真空のうちに吸い込んでもらった者達も数多くいた。嫌悪と畏怖が入り混じる視線を、あの微笑は今日もすり抜けていくのだ。
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