序章

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目つきが悪いのは、人間の街に長くいたのが原因で目が悪くなったためである。 125歳(外見は人間の20歳ぐらい)の自称盗賊。 「からかうんじゃねぇ。もっかいやるぞ、もっかい。今度は真面目にやれよ」 「ああ」 そう言いつつも、スタークはすでにカードを配り終えていた。 「やっぱこっちで合っとるよ」 地図を片手に、カルウェンツとスタークの所に誠実そうな青年が近づく。 「おおう。んじゃ、行くか」 「っち、これからって時に」 カードを片付けるカルウェンツに対し、スタークは重い腰をしぶしぶあげた。 「メリアストに着いたらしばらく時間あるし、そこで続きやればええって」 アルミニー国訛りが強いこの青年の名は、カフラド・F・ハイネル。 現在いる、多種族の集まる中心大陸ラースティネの南西の大陸、高度な文明をもつレスアルト大陸出身のカフラドは、その大陸の中でも裕福な国アルミニーでそこそこ有名な貴族の息子である。 が、15歳のときに冒険者に憧れ家を飛び出したため、今では貴族の息子とは思えないようなみすぼらしい格好である。 本来なら綺麗な栗色の髪もぼさぼさで、肩のところまで伸びきっている。
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