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唯一の救いはなかなかに整った可愛らしい顔と綺麗に澄み切った緑の瞳が気品を漂わせている。
18歳にしては落ち着いて、あまり物事に動じない青年である。
肩書きは一応吟遊詩人ということで、背負い袋に入った小さめのリュートで弾き語りをして日々の小銭を稼いでいる。
「だなぁ、おっしエルフ、そこで続きやるぞ」
「もちろんだフォリア兄」
横に置いていた背負い袋を担ぎあげて、カルウェンツとスタークはお互いに牽制しあう。
「で、エリシスとローティアルは?」
「お?ローティなら、さっきそのへんでちびと遊んでたぞ」
カフラドの問いに、カルウェンツはあたりを見回しながら叫んだ。
「お~~~い、ローティ!!いくぞーーー!!」
「・・・・・」
しばらくの沈黙ののち、遠くから、女性が女の子の手をつなぎながら歩いてきた。
「なんだい。カフラド君戻ってたのかい。探しちゃったじゃないか」
女らしくない言葉使いのこの女性は、カルウェンツとは男女の双子の片割れローティアル・フォリアーフェン。
カルウェンツと同じ、紫の瞳につり目、黒い髪。
顔立ちも似ている。
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