‡序章‡

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 文が手渡された本は、かなり古ぼけた本だった。  江戸時代の物ででもあるかのような、時代がかった本だ。 “本”ではなく、“書物”と呼んだほうが相応しく思える。  パラパラとめくってみると、本というより雑記帳のようだった。  表紙には、赤黒い文字で『孕魄記(ヨウハクキ)』と書いてあった。  その赤黒い文字は、まるで血で書かれているかのようで、文は不吉に思ったものだ。
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