‡序章‡

9/18
前へ
/427ページ
次へ
 渡された当時は、胡散臭いことこの上なく思えた。  しかし、今はそんなことを言っていられない。  文は、頼りない記憶を頼りに、どこかにしまい込んだ本を探してみた。  家を出る時に、本も一緒に持って来ていたのだ。  自分を愛してくれた祖父の、たった一つの形見のような物だったからだ。  結局、文はそれを、ほぼ一日かけて探すことになってしまった。
/427ページ

最初のコメントを投稿しよう!

698人が本棚に入れています
本棚に追加