‡序章‡

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 性格も、穏やかで柔和そのものだった。  平時であれば、そんな性格でも、やっていけたかも知れない。  だが、敗戦の爪痕が残る、戦後の混乱期では、甚だ心許なかった。  けれど、文は不平を言ったりはしない。  毅一を責めることもなく、健気につくしていた。  そんな折、毅一が病の床に臥せってしまう。  結核だった。
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