烏瓜

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オレは占いというものを信じていない。 占いなんてものは、どこか遠くのインチキ野郎が考えたインチキな詐欺の手段に他ならなく、根拠もへったくれもない単なる虚れ言であるに決まっているし、少なくともオレはそう考えている。 だから、毎日毎日テレビや携帯電話でインチキな情報を得て、「ああ、今日は何かいいことがありそうだな」とか、「ラッキーカラーは黄色か。靴下だったら外から見えないかな?」なんて考えて家を出る連中の気が全く知れないのである。 オレが信じているのは己自身だけであり、占いも信じていなければ神も仏も信じていない。 だいたい、正月もクリスマスも大いに楽しむような浮気心を持つ野郎が考えた未来予知を信じるなんておかしいだろ? そんなものに一喜一憂する人間達の心の中はさっぱり理解できないね。 つまり、今テレビに「11位 天秤座」の文字が映っているのは偶然の賜物であり、オレが心躍らせながらテレビの電源を付けたわけではないという説明から、この話を始めさせていただくとしよう。
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