しんじるものはすくわれる。

烏瓜

まあ、簡単に言えば映画を観たあとに電話をしていたから課題を終わらせることが出来ず、遅くまで机に向かっていただけのことさ。

残念ながら事細かに説明する時間もなくなってしまった。
もっとも、こんな意味のない話を聞きたがる物好きもいないだろうがな。

『遅くともあと11分で家を出ないとバスの出発時間に間に合わない。』

頭の中ではその文章がぐるぐる回っており、オレが着替えたりキッチンに行く間に残り時間だけが減っていった。

ちなみにテレビは見てないぜ？
正確には｢番組は見ていない｣になるか。画面左上に出る時刻表示を確認するためにつけただけだけだからな。
ちょうど一番おもしろくも興味もない占いをやっていたが、チャンネルを変えていないのを見てもらえると、オレがどれだけ焦っていたのかがわかってもらえると思う。

脳内カウンタはまた一つ減った。
あと９分でオレはテレビのスイッチを切ることは出来るのか？

そう思いながらテレビの時計を確認した時、女子アナウンサーの残念そうな声がオレを呼んだ。