烏瓜

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思っていたより時間が余りそうだ、やっぱり日頃の行いというのは大切だな、と、思ってもいない言葉を頭に浮かべながら、紅鮭を白飯と海苔で包んだ大衆的かつ経済的な固まりを口にした。 どんなに時間がなくとも一応の朝食を摂るのがオレのポリシーであり元気の源であり、そしてこの「おにぎり」というものは、幼いころから数えたら何千、いや何万個と食べているだろうかと言ってもおかしくないくらいの大好物であった。 三つ目の大好物をペットボトル入りの烏龍茶と共に胃に流し込みながら、オレは玄関の前までやってきた。 鞄よし、財布よし、課題も鞄に入れた。最後にもう一度確認してから、オレは靴を履いた。 脳内カウンタはただいま4分。 一体このカウンタがどれほど高性能かはわからないが、とりあえず携帯を確認してみた。 ……残り4分。完璧だ。 「行ってきます。父さん、母さん」 靴箱の上の写真立てにそう話し掛けてから、オレは目の前の扉を開けた。
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