烏瓜

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思わず『強すぎるだろ!』とツッコミを入れたくなるくらいに今朝は日ざしが強い、いい天気だった。 どんなにネガティブな奴でも、今日一日は晴れるだろうと考えるに違いない。 ポストに突き刺さった新聞を抜き、玄関へ投げた。 世界のニュースは携帯で見れば十分だ。わざわざ読みにくい新聞を読む必要はない。 ……ならなんで新聞をとってるのかって? そんなのはとってる本人様に聞いてくれ。オレは知らん。 指先から聞こえるかちゃり、という聞き慣れた音が、またいつもと同じ日常が始まることを告げているような、そんな気がした。 そう、日常というのはいつもと変わらないものだ。日々繰り返される平穏で単調な毎日は、決してつまらないわけではなく、逆に誰もが望む『安定した毎日』に他ならない。ただそれに気付くか気付かないかで人生が面白いかつまらないかが変わってしまい、専らオレは気付いているほうだと自負していた。 『人生は、楽しい』 紛れもなくオレはそう思っていたし、この先どんなことがあろうとも最終的にはまた同じ結論にたどり着くだろうと思っていた。 しかしその変わらない日常というのが、そう都合良く繰り返されないものであるということを、オレはこの数日で思い知らされることになる。 初めの異変が起こり始めたのはほんの数秒後…、 まだ庭先でのことだった。
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