第1章

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気になる…。 俺は首都とは逆の方向に走っていたのに気がつくのにそう時間は掛からなかった。 そして、近くで爆音が鳴り響く。 『うぉぉおぉぉおおぉ!!!』 近くで戦争が起きてる。 『くそぉっ!!!お前らがいなければぁぁぁ!!!!』 憎しみと憎悪がひしめく戦場で、さっきの少女を見つけた。 「…」 少女は、戦場が見渡せる高台の上で、何かを見つめていた。 しかし、そんな少女に近づく数人の影が同時に見えた。 こんな戦争の真っ只中だ。 一般人だろうがなんだろうが、得体の知れない物は容赦なく殺される。 「くっ!何やってんだ!!」 俺は走ってその少女に近づいた!!! 「死ね…っっっっ!!!」 「…」 両手に短剣を持った男が、少女の後ろに気配を消して近づき、一気に首元目掛けて二つの短剣を突き立てる。 「やらせるかよっっっ!!」 ギリギリで間に合った。 俺は自分の持っていた斧を思いっきり相手目掛けて振り上げた。 「なっ!!!ぐはっっ!!」 短剣を持った男は、斧に思いっきり当たり、空中を舞った。 「た…助けて…痛…い…痛…」 俺は血まみれで転がり落ちた男に 「すまない…」 そう言って、その男目掛けて 斧を振り下ろした。 「…悲しいですね」 俺の後ろにはさっきの少女がいた。 「…お前が死ぬのは勝手だがな、知り合った直前に死なれちゃ流石に目覚めが悪いんでな」 そう言って、俺は血まみれの斧を腰に立てかけた。 「…」 少女は、さっき倒した男の前に座り込み、左胸に刺してある白い花に手を当て目を瞑った。 「ブバルディアの花か…」 俺がそう言うと少女は静かに目を開けた。 「花言葉は[幸福な愛]だったな…」 「はぃ。次の人生は…きっと幸福が待っています」 「…だと良いな。さぁ、さっさとココから離れるぞ!」 そう俺が言うと、少女は頷き、戦場を後にする。
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