第1章

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数分歩いたところで人だかりが見えた。 兵士達が何かを囲むように話をしていたのが聞こえた。 一体なんだ…? 俺は少し気になったので、その人だかりへ向かった。 「あの」 「ん?今忙し…!?」 俺が話しかけた兵士は、俺の顔を見るなり、しりもちをついた。 「血薔薇のココロ!?」 相手に恐れられるならまだしも、見方にまで恐れられるのは正直辛い。 「あれが…?」 「ココロだ…」 「殺人鬼…」 こそこそと周りの兵士達のざわめきを聞きながら、俺は前へと歩いた。 「ココロ…何しに来た?」 そう言って俺の前に立ちはだかったのは、俺の所属している部隊の隊長だった。 「別に。ただこの人だかりが少し気になっただけです」 そう言って俺は隊長に目を合わせた。 「そ…そうか、ならいいんだ」 多分隊長は俺がガンを飛ばしたと思ったのだろう。 隊長の慎重は俺より遥かに高い。 そんな隊長を見上げただけで、ビビる隊長に呆れる。 「で、こんな戦場で死者でもお見送りですか?」 ちょっと皮肉に俺がそういうと、隊長がある方向に目をやった。 「ぁ、ぃゃ…ちょっとな」 隊長が目を向けた所には一人の少女がいた。 素足のままで、黒いワンピースを身にまとった少女。 とても戦場のど真ん中にいるような格好じゃないのは一目で分かる。 しかし、なんでこんなに人だかりが? 「実はな、あの子について話していたんだ」 隊長が話を進める。
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