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大翔が叩きつけた二枚の写真にはそれぞれ女性が写っていた。
一人は明るく元気を振りまき、左の前髪が少し長くて紫に染めている女性。
もう一人はキリッとした睨みつけるような赤い目をしたギターを弾いている女性。
「このいかにも女の子っぽくて明るいハルと少し男っぽいところがあるけど凛々しいユメの魅力がお前にはわからないのか! 因みに俺はハルの方が好きだ!」
「わかんねーよ。第一、俺はこいつらのことはよく知らねー。それに、俺がアイドルで気に入ってんのはシロだけだ」
「シロね~。確かにあいつの凄さは別格だ」
「シロの曲は心に来るんだよ。特に代表曲の《大切な人》がよかった。あれはホントに泣けた」
「あぁ、あの時お前が俺に熱弁していたことは今でも覚えているよ」
呆れた口調で言う。
それほどにまで恭也がシロに心酔していることだ。
すると突然、恭也は黙って一枚の写真を手に持って真剣に見つめる。
ユメが写っている写真の方を。
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