気に食わないアイツ

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「色々世話になったな」  今まで強く降っていた雨はすっかりと止んでおり、水平線に綺麗に輝く太陽が落ちていく。  紫苑は大分体調は安定したがまだまだ熱は残っていた。  しかし、これ以上お世話になるのは悪いと思い紫苑は家に帰ることにした。 「もうちょっといてもよかったのよ」 「気持ちだけ受け取っておく。それに、またここには来ることになるんだ。仕事として」 「それもそうね」  また紫苑が来てくれることにヒナタは少し嬉しくなり微笑む。  そしてヘルメットを被り今から家に帰ろうとすると屋敷の中から誰かが出てきた。  その人物とはこの屋敷の使用人の中で一番偉く、ヒナタも爺と親しんでいる老人であった。  紫苑は何故かその爺を見た瞬間、驚いた顔をする。  しかし、フルフェイスのヘルメットを被っていることもありヒナタからは紫苑の表情が見えなかった。  どうやら爺は紫苑が驚いているのはわかっているみたいだ。
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