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「まぁ、座りや」
整った庭園を見渡せる縁側に座り来いと促す妃咲に恭は気怠げながらも大人しく従うと少し離れた場所に腰をストンと下ろした。
「護、ちょっとお茶持ってきてんか、あと人払いしとき」
恭が珍しく家に居るもんやから、野次馬が煩ぁて、しゃあないわ。
そう溜息をつきながら僅かに肩を落としたようにする妃咲に護は、苦笑しながらも頷いた。
勿論。
「解りました、姐さんの仰る通り人払いしときます。若」
「あ?」
「姐さんの仰る事、よくお聞きになられてくださいね。逃げちゃ、ダメですよ?」
「…………」
恭に釘を刺すのは忘れずに。
「さて、と。まぁ話し出し続けよか……恭」
「何」
「アンタ……怖いモノあるか?」
「怖いモノ?」
「せや、例えば、同業者やったりそやな……死ぬ事なんかも例えに入るんやないか……あるか?」
「同業者……ヤクザ?別にチンピラもヤクザも怖くねぇよ。死ぬ?や、死なねーし。まぁ、死んだら死んだ時じゃね?どーでもいーよ」
「つまり怖いもんなんか、あらへん……そういう事やな?」
「あ?まぁ、そうなんじゃね」
「なんや酷く曖昧な返答やなぁ。……まぁ、ええわ」
「いいのかよ」
「ええわ、本題はここからやさかい……とりあえず質問を変えるわ」
「さっさとしろババア」
「バッ……!?」
ババアと言われ口元を引く攣かせ激昂しそうになる妃咲。
が。
「おっと、あかん、アカン。本題見失うトコやった」
「ボケんにはまだ早ぇよ」
「じゃかましわ、アホんだら!!まぁ、ええわ話元に戻すわ」
どうやら渋々ながらも自分を落ち着かせ妃咲は話を進めた。
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