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飛び掛かってきた相手の拳を軽いステップで後ろに避けた俺は、そのままの勢いを利用して相手に上段回し蹴りをかます。
「チッ……!」
「へぇ、やるじゃん」
間一髪で避けたものの男の頬には紅い一筋の掠り傷。
「の、ヤロゥッ――!!」
「何、回し蹴りには回し蹴り?」
自分が二度も傷つけられた事に対しての怒りか自らの強さにプライドを持っていたのに突き崩されかけている事への怒りか。
男は伏していた地面を勢いよく蹴りあげ俺との距離を縮めと俺と同じ回し蹴りを繰り出してくる。
「さっきの俺の蹴りを避けたのは褒めてやるよ……けど」
甘いんだよねー。
「お前、ソレ決まったと思って、油断しすぎ」
「何!?」
「甘いんだよ、バーカ」
ニヤリといった様子で口元を吊り上げる嫌な笑みを浮かべた俺は男の上段回し蹴りに対し自らの体制を低くし避けた直後、足掛けをし男の体制を崩させた。
「なッ……!?」
案の定というかなんというか足を取られた男はなんとか受け身を取ろうとしたものの咄嗟の事で間に合わず不様な恰好でドサリと地面に転がる。
「――な、……は!?」
「うっわ、何その間抜け面。お前マジ、ウケルー」
明らかに自分の状況についていけていないコイツの顔ったら……。
その、あまりの間抜けっプリとパニくったアホ面。
もう俺、腹よじれても、おかしくないんじゃねって思ったんだけど。
まぁ、でも。
もう飽きたしね。
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