はめられた!

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カチカチカチカチ……… 目覚まし時計の秒針の音。 静かな静かな夏の夜。 その他に聞こえるのはエアコンの微かな音……そして…… ハァ―――…… 溜め息。 「どした?」 落ち着いた優しい声はいつもと同じ。 問われて、冬菜は情けない顔をする。 いつもの有仁の部屋。 宿題を見てもらうのを理由にして、冬菜はほぼ毎晩のように、こうして有仁の部屋に来るのが日課になっていた。 有仁の部屋にはテーブルがない。 ゆえに、冬菜は勉強道具と自分の部屋にある小さなテーブルを持ってくることにしている。 その小さなテーブルで、冬菜は今、宿題を広げて溜め息をついていた。 原因は…… 宿題ではない。 有仁と冬菜は高校2年生。 名門私立吉崎陽和学園高等部に在籍中。 で、しっかりと恋人同士。 二人がこうして付き合うまでには、いろんなことがあったのだが、今は何も問題なく付き合っている。 付き合っているといっても、冬菜は有仁の家が経営している下宿屋の下宿生で、一つ屋根の下で一緒に暮らしているのだが………
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