Have You Never Been Mellow

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ハイスクールの教室からは、その様子が一望することができた。 「ジョン、バズーカは?」 マルテは細身のバズーカ“ティッコルテ”を肩に担いでいた。ジョンもアサルトライフルを持ち、教室にいた仲間に手榴弾を渡した。二人は屋上に向かう。 「先生達は?」 「確か、体育倉庫に閉じ込められたはずだよ。」 二人は恐らく“過激派”と呼ばれるだろうが、 今日はその記念すべき初作戦日“ハイスクール占拠”なのだ。軍隊はようやく、一階の校長室から発射された“ギロチンナパーム”をくらい、学生達に発砲し始めた。ハイスクールの外の道路は戦場とかしたのだ。装甲車が一斉射撃を行い、朝の街は大混乱に陥る。 しかしハイスクール内にはまだ軍は進撃していない。ジョン達が屋上に向かうと、すでに過激派のスナイパー部隊が狙い撃ちを始めている。全ては上手く進んでいた。これが速報で報道されたのはそれから一時間は経過するのだった。 ベンチの女性は、すでに消えていた。 何でこんなことをしたんだろう。 …またこの繰り返しだ、諦めよう。 全共闘の演説を聴いて、感動したのが最初だった。かねてから学生運動をしていたマルテに出会ったのもあの演説だった。 それからは様々な資料を読みあさり、色々な主義者と議論した。そのなかでマルテと愛情を深め、ジョンは類い稀な若い弁士としてずるずると学生運動に引き込まれていった。 気がつけば、全共闘過激派の精鋭部隊にマルテと所属していて、武器を持ってハイスクールを占拠して、国を敵に回した。勧告要請に応じなかった全共闘軍を、容赦なく軍隊は射殺した。街は戦闘地区として軍に緊急統治され、次々と同志が死んでいき、二人は図書館に逃げ込み、こうしてジョンは後悔しているのだ。 「もう軍に投降しよう。このままだと殺されてしまう。」 しかしマルテはマシンガンを掴んで抵抗の意志を示した。 「ダメよ、ジョン。それでは全共闘の意志は国民に伝わらないじゃない。」 「だったら何で僕らはここで戦争をしているんだ?」 すでに軍隊がハイスクール一階を制圧していて、残存する全共闘は少ない。校舎の裏山にいる部隊から連絡はないし、屋上から声明を延々と続け、垂れ幕をしていた全共闘本部隊はアパッチの掃射によって全滅した。図書館はハイスクールの校舎から離れているため見つかる危険は少ない。何より外から鍵をかけてもらえた。鍵をかけたあいつはまだ、生きているのか…
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