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「ありがとう。」
「どう致しまして。それにしてもセミに、おしっこをかけられるって、ある意味運が良いのかな?」
言い、お兄ちゃんは笑う。
「ぶぅ~嬉しい物じゃないから嫌なの!!」
「あはははは。」
お兄ちゃんと話していると、横断歩道の信号が青になった。
「青になったよ。早く行こう♪」
「分かってるから、そんなに手を引っ張らなくても…。」
お兄ちゃんは困った様な顔をする。
お兄ちゃんの全部が好きだけど、お兄ちゃんの困った顔も私は大好き♪
「だって、早く行かないと誰かに取られちゃうもん。」
「だからって、そんなに引っ張ったら……あっ、危ない!!」
「え?」
お兄ちゃんが私を引っ張る。
ドンッ!!と何かがぶつかる音がして、いつの間にか私は転んでいた。
「あれ?」
一体、何があったの?
何で私は転んでるの?
辺りをキョロキョロ見回す。
「…あ、お兄ちゃん。お兄ちゃん!?」
さっきまで一緒にいた、お兄ちゃんが居ない。
「お兄ちゃん!!お兄ちゃん!!」
「誰か!!事故よ!!警察に電話!!」
「救急車呼んで!!」
叫ぶ私を見て、一人のお姉さんが声をかけてきた。
「大丈夫!?何処も痛くない!?」
「お兄ちゃん…お兄ちゃんは!?」
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