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「風邪ひくよ!」
少年に言われ我にかえる円。
「ハッハクション!」
言ってるそばからくしゃみが出た。
「ほらっ!」
片手に仔犬を抱いて、空いた手で円の手を引き、河から引き上げてくれた。
「あっありがとう。」
逆光ではっきり見えなかった少年の顔が、あらわになる。
『ドキッ』
それは円が初めて感じたトキメキだった。
「しっかし酷いよな!こんなかわいい仔犬を流すなんて!」
少年は怒りをあらわにした。
「許せない!」
円も怒りが込み上げて来た。
「でも、女の子なのに勇気あるな!」
そう言ってまた笑った。
仔犬が少年の顔を舐めた。
「くすぐったいよ~」
少年は優しく笑いながら仔犬とじゃれていた。
「でも、どうしよう。この仔犬。」
いきなり少年が困った顔をした。
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