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待ち合わせ場所には少年が先に来ていた。
「遅くなってごめんなさい。」
円は息を弾ませながら頭を下げた。
少年の瞳が優しく円を見つめた。
「ずっと走って来たんだ。」
そう聞かれ、
「受験勉強で最近運動不足だったから…」
そう言ってごまかした。
早く少年に会いたくてとは、口がさけても言えなかった。
「じゃあ、行こうか!何件か心辺りがあるんだ。」
少年が歩きはじめた。
「待って!そのワンチャンって♂かな?」
円の声に仔犬のひっくり返し、腹部をあらわにした少年。
「お~りっぱなのがついてる!こいつ♂だよ!」
そう言って円に見せた。
円は何となく恥ずかしくなって目を反らした。
少年はそんな円を見て微笑んだ。
円は少年に言った。
「♂なら、家で飼ってもいいって言われたから。」
その言葉に、
「マジで?よかった~!」
少年は大喜びした。
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