隻眼の死神

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 砂山の遥か向こうに、村の時計台が小さく見えた。向こうへ着くまでには、まだあと一時間はかかるだろうか。  太陽は、俺の頭上でその糞暑いような眼差しを向けている。この暑さの割に汗は出ていない。いや、出す必要がなかった。俺は人の姿をしていながら、既に人ではなかったからだ。  確かに。俺の姿を見れば誰でもわかるであろう。俺は「隻眼の死神」。まぁ死神と言っても、人が勝手にそう呼ぶだけだが。  人間というものは恐ろしいものだ。どんなに優しい笑みを浮かべても、他と少し違うというだけで恐れ、避けていく。無邪気な子供でさえも、だ。まぁ、見知らぬ人間に対して笑みを浮かべるなんて行為、気色悪いとしか思えないが。
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