隻眼の死神

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 いい加減飽きたと思えるような砂色一色の景色も、こうやって終わりに近づくと短かかったように思えるのは何故だろうか。目の前に突然広がった木々が、ようやく西の大砂漠から中央の盆地地帯に入ったことを告げていた。人に会うのももう間もない。  「村……か」  門の近くの立て札を読み、呟いた。一番近い都市、プロブディフまではざっと30マイル少しといったところだろうか。人ではないとはいえ、流石にこの距離を夜までに歩けるとは到底思えなかった。この村で食料補給してから近くの町に行こうか。  「この村に食い物屋はあるか?」  近くにいた赤毛の男に聞いてみる。服装や、猫車に積まれた山のような藁からすると、男は百姓のようであった。男は一瞬怯んだ顔をしたが、すぐに答えた。  「そこの……そこの角を曲がってすぐに看板がありますんで、へい」  男はそう言うなり、猫車を引きながら沃さと立ち退いていった。
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