プロローグ

2/3
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
 雨が降っている。  かなり雨足が強く傘をさして歩き始めた。 「じゃあな」 「おう。また明日」  校門を出てみんな家路へと向かう。一人で歩き出す者。何人かではしゃぎながら帰る者。  今日は明日香早退したらしいからな・・・。後で見舞いに行くか。  いつも一緒に帰る幼馴染の顔を思い浮かべてふっと顔がほころぶ。  いつか・・・。  思いを伝えたいな。  今はこの関係を大切にしたいけど。 「恭介!」  そんなことを考えながら歩いているとぽんと肩をたたかれた。 「おわっ・・・。あ、明日香」  急のことに驚く。照れ臭くて思わず視線をそらした。 「なあに。変な声出して」 「変なって。お前が急に・・・ってか大丈夫なのか?」  そういえば明日香は早退したはずだ。 「へ?」 「へ、じゃねえよ。早退したんだろ。具合は大丈夫なのか?」 「・・・ああ。うん大丈夫。ちょっと・・・貧血気味だっただけ」  それが大丈夫なのかは分からないがとりあえず明日香はにっこり笑っているのでほっとする。 「あまり無理するなよ」 「うん」  二人並んで帰る。  他愛も無い話をする。  この瞬間がとても愛しかった。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!