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時間が止まる。
あなたも止まった。
俺の心臓が壊れたみたいに大きく脈打ってる。
「…俺さ」
「……俺には大切な人がいる…んだ」
まっすぐ見つめ返されて
思わず目をそらした
『……………で、ですよね』
『何本気にしてるんすかー!まったくもー。ノリつっこみくらいしましょーよ!』
握ったままだった手を
パッと離して
歪みそうになった顔を必死に笑顔に変えた。
『つか俺、男ですから!man!(笑)』
溢れ出しそうになった涙を
ビールと一緒に飲み込んだ。
「は!?おまえさぁー」
握られた二の腕が痛かった。
でも
そんなの比じゃないくらいに胸が軋んで痛かった。
それでも笑わなくちゃ。
いつもの俺に戻らなきゃ。
後輩の石田に戻らなきゃ。
それから
何を話したかあんま覚えてない。
ただ……
涙が溢れないように
顔がつらいって言い出さないように
ずっと笑顔を保つことだけ考えてた。
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