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「ちょっ。おまっ…帰れんの?」 店を出た瞬間にふらついた。 当たり前のように抱き留められた。 背中に回された腕が暖かかった。 ぎりぎりの所でとどまってる涙が溢れ出しそうになる。 思わず背中に手を回した。 広い背中も 頬をくすぐる黒い髪も 全部俺のものにはならない。 わかってたことなのに やっぱり胸はギリギリ軋む。 『だいじょぶですー。もう大人なんで俺!』 目の前にあった胸をめいっぱい突き放して 最後の気力を振り絞って笑顔を作った。 『ごちでした!!!』 .
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