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寒さにやられて感覚をなくし始めてる 俺の耳に届いたのは さっきまで聞いていた甘い声に少し似ていた。 幻聴? どんだけ求めてんだよ俺。 「…………おい。りゅう!」 もう一度届いたその声は あなたよりも強め。 でもやっぱり似ていて 俺の胸がしめつけられて 絞られたようにまたあったかい涙が頬を伝う。 「…おまっ何やってんだよ!こんなとこいたらアイツらにまた見つかるから!」 焦るようにまくし立てられて 力強く腕を捕まれて ずんずん進んでく黒い背中。 不思議と抵抗する気になれなかったのは 捕まれた腕があったかかったから。 求めてた熱に似ていたから………… .
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