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「おいおい何だよ。」
「しっ!耳を澄ませろ。」
ハロルドが至極冷静に命令する。
「…前方よりジープ、かな。」
沈黙を守っていたハルベルトが口を開く。
「ジープったってこんな田舎の基地にこんな時間にですか?」
フューズの言うとおり、現在時計は午前零時五分をさしている。
基地の周りは巨大な農作地で遮る物は何もない。
つまり、前方のジープはこの基地以外に目的地は無い。
「…ハロルド、指揮車の使用を許可する。」
ハルベルトが小声でハロルドに指令を下す。
「了解。」
ハロルドは何事も無いかのように徒歩で悠然と宿舎へ戻っていった。
「さて、どうみる?」
ローズがフューズに話しかける。
「ジープの荷台には特殊部隊が鮨詰め…とか?」
フューズは少しずつ体をほぐしている。
「あの速度だ。それは無いだろう。」
小さかったジープのランプはしかし、あまり急激には大きくならない。
「特務ですかね?」
今度はハルベルトに話をふる。
「…さあ、な。」
こちらもまた悠然とジープが基地南門へと近づく。
ローズがジープのドアガラスを叩く。
「ここから先は陸軍第二方面軍養成基地であり、許可ない入場は出来ません。」
「我々は中央から着た者だ。」
中央の事務員用の軍服を着た二人組はそう答えた。
ハルベルトが静かにジープの前、車止めとの間に割ってはいる。
「身分と用件を確認したいのですが。」
ローズが続ける。
「同行者と用件は明かせない。これが私の身分証だ。」
運転手の男が登録証を見せる。
階級は少尉。
名前は
「モーリス少尉殿でありますね。」
ローズが少し声を張り上げて確認する。
「基地責任者に連絡を取りますが?」
ローズは続ける。
「コード407と伝えてくれ。」
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