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三月中旬。
穏やかに晴れた空には、一片の雲も無かった。
卒業式を三日後に控え、セレブのお嬢様ばかりが集う、鳳雛(ホウスウ)女学園の庭の手入れに来ていた庭師の作業も、時おり風に香る満開の染井吉野の桜に、心を止めながらも順調に進んでいた。
学園の午前中の終礼のチャイムが鳴り始めた。
庭師の親方が若い職人に、そろそろ昼飯にしようと腰を伸ばしたちょうどその時、一陣の疾風がザッと満開の桜の花びらを舞い上げた。
親方と若い職人が、あっと風に顔を避け、怪しむ間もなく、ドサッとすぐそこでズタ袋が一つならずも地に落ちた音がした。
終礼のチャイムの余韻が、華やいだ女学生たちの声にかき消されていた。
二人の庭師の目の前で、胴体から首が離された遺体が、真っ赤な鮮血を飛沫(シブキ)させ、ピンク色の桜吹雪を朱色に変えた。
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