第一章 黎明

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「マスコミの情報操作は【電脳】に、三つの遺体と二人の職人は【イエロー・フォース(YF)】で預かりました。」  まるでゴリラそのもののような風態の前田が、相川の後ろから大石に礼を正して報告した。  大石は、財団本社の『電子・電算課』と伊豆諸島沖の洋上の『海洋開発及び医療・医学部』のいつもながらの素早い対応に頷いた。  大石も相川財団の裏の顔を知る国家の要人の一人だった。  相川財団法人は『出産から墓場まで』をうたい文句にした世界屈指のグローバル企業の表の顔と、『国家の安全と財産を守るり 国民の生命を脅かす者あれば速やかに排除する』を基本理念にした裏の顔があった。  各自の特性でいくつかの部隊に分かれている彼らは、日常は一般の従業員と同じくサラリーマンとして財団に勤務しているが、国家が表立って行えない事件や要人警護は全て財団の仕事とされていた。  先日も某国の王女が極秘で、偽造パスポートで入国した時も彼らがSPの任に着いていた。
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