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ツゥ… 雫が、綺麗に頬の曲線に合わせて伝っていく。 目の前の鏡に映る自分は、ひどく滑稽で…。 「………あっれ…?」 手で雫をすくう。 それと同時に、体の力が抜けて脱衣場の床に座りこむ。 いや、立っていられなかったんだ。 腰が抜けて。 「こんな経験、初めてかも」 頭の何処かは冷静で、体だけが素直に反応する。 ポタポタと床を濡らすのは、俺の涙で。 頭を駆け巡るのは、疑問符の山。 そして、心を荒らすのは………………要人。 乾いた笑いがこみあげて、涙の量だけが俺の心を示した。 .
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