大阪独立

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  「汚職に財政難、地方切り捨て――、我が大阪府はこの様な腐敗しきった国家日本国から独立し、“東亜民主国”として、新たな国家を建国するものである!」 水を打った様な一瞬の静まり、そして凄まじいざわめきが広がった。 「知事、今の発言は本当でしょうか!?」 最前列にいた女性記者が半信半疑と言った面持ちながらも、知事に尋ねる。 「知事!」 最後列にいた男性記者は、声を張り上げて、返答を求めた。 「知事!」 この宣言は知事の新しいパフォーマンスなのだろうか。その場にいた全員が、知事の答えを求めていた。 が、橋上知事は言いたい事はもう言った、と言わんばかりに席から立ち上がると、記者達の問いに対し何も言葉を発さず、その場を去った。 2時間後、東京・永田町の首相官邸に1通の文書が届いた。 “東亜民主国独立宣言”と題されたその文書には、日本からの独立を宣言した東亜民主国(大阪府)の独立宣言文、及び当面の政治方針が記されてあった。 “第2条 東亜民主国憲法・東亜民主国刑法等を制定するまでは、暫定的に日本国憲法・日本国刑法等を概ね適用する” 等、多岐にわたる内容が記されてあったが、首相以下閣僚を慌てさせてたのは次の一文であった。
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