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そう、
「第6条 東亜民主国は、軍隊を保持する」
この一文である。
日本と言う国の国土の中に、戦争を起こすことが可能な国が出現したのである。独立だけでも早急に対処すべき問題であったが、“軍隊を保持する”と宣言された以上、もはや一刻の猶予もならなかった。
時の内閣総理大臣木場義博は、臨時の閣僚会議を開き、防衛大臣ら関係閣僚との会議の末、自衛隊の出動を決定。直ちにそれを命じた。
ところが、完全に想定外の事態が起こった。シビリアン・コントロール(文民統制)の考えに基づいた上での最高司令官である木場総理の命令を受け入れる事を統合幕僚長ら自衛隊幹部が拒否。出動を行わなかったのである。
この頃の自衛隊内部は急進的右派勢力が台頭、“自衛隊”と言う組織として独自の政治思想色を帯始めており、橋上知事と同様に、日本という国に対して不信感を持ち始めていた。その為中立を守り、東亜国と日本国、どちらが正しいのか十分見計らってから、どちらかにつこうとしたのである。
この責任を取って防衛大臣大池彰が辞任。
同日午後11時には、木場内閣は総辞職するという事態に陥ったのである。
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