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 雨が降っている。僕はバス停で彼女が来るのを待っていた。  いや違う。バスを待っていた。  彼女が来て、僕らはあいさつを交わす。 「今日はギター持ってないの?」 「持ってないよ。学校にギター持っていったのあの日だけだよ」  と僕は答える。  雨は降り続ける。  空気はすごく湿っていて、僕はシャツの首元をパタパタさせて、蒸し暑さを耐えている。 「ねえ、もうギター誰かに聴かせた?」  と彼女は聞いてきた。 「いやまだ。ずっと一人で練習してるんだ」  と僕は正直に答える。
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