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 僕は思い出す。  そう言えば実家の部屋の窓からは、よく花火が見えたことを。  ヒュルルルルル。  バン。  と最初の花火の音が聞こえてきて、僕はギターを置き、窓の外を見る。  暗い夜空に、大きな花火が映っている。きれいだ。 でも僕が見た花火は、僕が聞いて窓の外を見ようと思った最初の花火じゃない。  最初の花火はもう消えてしまっている。もちろん、それからもたくさんの花火が見れたし、これからもたくさんの花火が見れる。  でも最初の花火を見ることはできない。
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