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病院の帰り、朱雀の腕に巻かれた包帯を見ていた
「大丈夫だよ」
『うん』
「すぐに冷やしたし、痕は残らない」
『痛い?』
「凜が居れば痛くない」
『もう…』
他人が聞けば、かなりのバカップルだよね
「あっ…」
『ん?』
玄関の前で朱雀が何となく焦っていた
まさか…
まだ居るとか?
『………朱雀?』
「いや…部屋を見ても
驚かないでね」
『ん?』
朱雀に念を押されて
玄関に入ると…
『ど、泥棒!!』
「違うよ」
『えっ?』
部屋はかなり散らかっていて、段ボールが転がっていた
「しばらく帰ってなかったからな…好き勝手に荒らしやがって」
『一緒じゃなかったの?』
「私はギズモと病院暮らしだったんだ」
『そうなんだ…』
リビングに向かうと、
酒瓶が転がっていた
「はぁ…やりたい放題だな」
床に落ちていたピアスを拾い、ごみ箱に捨てた
『なんか…臭いね』
「だね」
部屋の中は、香水とアルコールと……後は想像したくないな
「ソファーに座るのも
抵抗があるな」
『ベットは?』
「多分同じだね」
『はぁ…10発ぐらい殴ればよかったのに』
「今、後悔してるよ」
『明日は掃除だね』
「いや、もうここは引っ越そう」
『えっ?』
「凜がいやな事を思い出すから」
『……でも』
「取りあえずしばらくは、ホテル暮らしだね」
『わかった…』
「すぐに新しい家を見つけるよ」
『うん』
確かに嫌な事を思い出すけど、楽しい思い出も
詰まった家だった
「そんな顔しないで…
またこれから幸せな思い出を作ればいい」
『うん』
「行こう」
『わかった』
そうだよね
楽しい思い出は、また
二人で作ればいい
『行こう』
「ああ」
玄関に鍵をかけ、
家を出た
『てか、病院でもいいのに』
「駄目だよ…凜がアルコール臭くなる」
『いいのに』
「私が嫌なんだよ…
凜は海の香りが1番似合ってる」
『よかった…魚の匂いじゃなくて』
「それもいいかもね」
海の香りか…
仕事どうしよう
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