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「凜、起きて!凜!」
『ん~、仕込みの時間?』
「仕込み?」
『あっ…そうだった』
「おはよう」
『おはよっ』
「ここから水族館はすぐ近くだから、ゆっくり
朝食を食べるといい」
『近く?』
窓から外を眺めた
『あっ、プールが見える!』
「気付かなかったんだ」
『全然…』
「やっぱり、半分寝てたみたいだね」
『あははっ…』
朱雀と一緒に朝食を食べ、シャワーを浴びて準備をした
『じゃ、行ってきます』
「行ってらっしゃい…
あっ、今日は迎えに行くよ」
『わかった…俺の仕事があればね』
「大丈夫だよ」
『かな……じゃ!』
部屋を出て、エレベーターに向かう
『すごい絨毯…』
なんだか靴のままじゃ、申し訳ないような絨毯が
廊下に敷き詰められていた
「おはようございます」
『おはようございます』
エレベーターの前に
ホテルの制服を着た人が
立っていた
エレベーターに乗ると
深々と頭を下げながら言った
「行ってらっしゃいませ」
『あっ…行ってきます』
早く閉まれっ!
扉が閉まるまで頭を下げていられるのは……
これじゃ、水族館より
玄関に行く方が時間かかりそう
漸くホテルの外に出た
下から上を見上げる
『ひゃ~!こんなにすごいホテルだったんだ』
いつの間に?
いや、俺が知らなかっただけかな
水族館までは歩いて5分で着いてしまった
『どうしよう…』
裏口から入ってもいいのかな?
ウロウロしていたら
後ろから声をかけられた
「何やってんだ!早くタイムカード押さないと遅刻だぞ」
『花崎さん…あの…ごめんなさいっ!迷惑たくさん…』
「何言ってんだ?お前は病気だったんだろ?謝る必要はないよ」
『花崎さん…』
「イルカ達が待ってるぞ」
『はいっ!』
急いで着替えてプールに向かう
もう、ここで働く事はないと思っていたから、
凄く嬉しかったんだ
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