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疲れ果てて漸く凜は眠った
寝顔をいつまでも見つめていたい
どうしてこんなに好きになってしまったんだろう
初めて会った時は、
まだ幼さが残る高校生だったな…
今でも鮮明に覚えている
血だらけの猫を抱きしめながら俺を真っ直ぐに見つめていた
その瞳にやられたのかな
とても素直で純粋な瞳
俺とは正反対の瞳を持った凜
絶対、愛してはいけないと思っていたのに
凜には俺の過去は重過ぎるから
だけど、それすらも
乗り越える強さが凜にはあったんだね
「本当に結婚しようか…」
左手の指輪を見つめながら呟く
だけど、その前に家を探さないと…
いつまでもホテル暮らしをさせるのは可哀相だしな
この辺で探しているけど
なかなか見つからないし
明日は休みだから
一緒に探してみようかな
『んっ…朱雀…それ』
「それ?」
『イワシだよ』
「イワシ…」
一体どんな夢を見ているんだ?
「クスッ」
可愛くて堪らない
今は、凜より俺の方が
愛しすぎているのかも
凜と離れて何も食べれなくなった
このまま死んでしまおうかとも考えた
ただ、空気のように
生きているだけの毎日
まさかこんなに愛していたなんて…
嫌いになるどころが
毎日好きになって行く
自分が怖かった
凜を束縛してしまいそうで…
南月や花崎の側に居るのもかなり耐えているのに
「ヤバイ…よな」
愛する気持ちに
終わりがあればいいのに
もし、凜が他の誰かを
好きになったら…
考えただけで気が狂いそうだな
『朱雀……まだ起きてたの?』
凜が目を開けていた
どうやら寝言ではなさそうだ
「凜…」
『ん?』
「愛してるよ」
『俺はその2倍愛してる』
「凜…」
抱きしめながら、耳元で囁いた
「海外で結婚しよう」
『えっ?』
眠そうだった顔が、
驚きの顔に変わる
「誰にも渡したくないんだ…ずっと傍に居てほしい」
『朱雀…俺…行けないよ』
まさか速攻で断られるとは…
「凜…」
『パスポートないから』
「クスッ…やっぱり凜は最高だね」
パスポートなんて
すぐに作るさ
『でも、嬉しいな』
「今度はタキシードだね」
『ん…ドレスでもいいよ』
「参ったな…そんな姿を見たら、何回も式を挙げたくなる」
『あはっ』
必ず凜のドレス姿を
もう一度見てやる……
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