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凛が起きてきた
「眠そうだな」
『ん~』
「寝かせてもらえなかったとか?」
『ん~…って、何言ってんの?』
「目が覚めただろ?」
『もう……あれ?アサは?』
「街までお買い物」
『一緒に行かなかったの?』
「邪魔だから来るなってさ」
『成る程ね』
「ほら、さっさと食べて泳ぎの練習するぞ」
『わかった~』
アサは何しに街まで行ったのかな?
ま、まさか…浮気!?
な訳ないか
う~ん…謎
これで荷物は片付いたな
車も売ったし、このマンションも買い手がつきそうだ
「色々あったな…」
ガランとした部屋の真ん中に座り、天井を見つめる
ヨルと二人で暮らし始めてこのマンションを買ったんだよな
お互い仕事の時間が違うから、寝るのは別々にしようとか言って3LDKにしたのに、結局一緒に寝てたっけ
あの壁の傷は、ヨルが浮気しそうになった現場を発見して、俺がキレた時に出来た傷だな
まぁ…俺の勘違いだったんだけどね
一緒に暮らして行くうちに、隣に居るのが当たり前になってきて、このまま空気みたいな存在になっていくのかな~なんて、ちょっと寂しいような毎日だったな……
そんな時に凛と知り合ったんだっけ
初めて会った時は、
大丈夫かよ?って心配したけど、凛と暮らすようになって、凛も大切な存在になっていったんだよな
凛と知り合って、俺達も忘れかけていた何かを思い出す事が出来たんだっけ
正直、ヨルと結婚してそれでやるべき事は終わったと思っていたけどそうじゃなかったんだよな
そこからが始まりだったんだ
凛達と知り合えた事は奇跡に近い
まさか、思い描いていた明るい将来が、こんな形で実現出来るなんてね
「今までサンキュー!」
ゆっくり立ち上がり、長年住んだ部屋に別れを告げた
「さて、帰るかな」
新しい俺の家に…
愛する人と素晴らしい友人が待つ家に帰ろう
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