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『アサ~!お帰り~』
凛が堤防から手を振っていた
「ただいま~!」
つい、つられて手を振り返してしまった
凛は走って、港に向かう
「可愛いなぁ」
つい、顔がほころぶ
港に着くと、凛が先に待っていた
『アサ~!』
「嬉しい迎えだな」
抱きついて来た凛の頭を撫でながら笑う
『急に街に行ったから、ヨルと喧嘩したのかと思った』
「違うよ、ほらお土産」
凛が好きだったロールケーキを渡す
『あっ!まきまききな粉ロールだ!ありがとうアサ』
「うん」
俺はこれを食べるとむせるから苦手だけど…
「ヨルは?」
『潜ってる』
「またか……」
『ヨルは何でも出来てすごいよね』
「まぁな」
確かにヨルはスポーツ万能だな
実は、初めて会った時、あの体に惹かれたのは内緒……
まぁ、今はそれだけじゃないけどね
(アサが帰って来たよ)
(凛が迎えに行ったな)
「ん?」
潜ってても話が出来るのか……
こいつらが居れば、安心だな
「わかった、じゃまた明日な」
(ああ)
(またな)
ウエットスーツから腕を抜き、上半身裸になってボンベを片付ける
「ヨル」
「お帰り」
「うん」
『むふっ…じゃごゆっくり~』
凛は笑いながら、家に戻って行った
「よかったのか?」
「何が?」
「マンションまで売却して」
「ああ、そうしないともし喧嘩した時、アサに帰られちゃうしな~」
「お前……」
「まぁ、それは冗談だけどね」
「あのなぁ~」
「アサ、これからもよろしくな」
「ヨル……当たり前だろ!」
「濡れるぞ」
「いいよ」
抱き着いて来たアサを抱きしめながら笑う
「よし、帰ろう」
「ああ」
夕陽を背中に受けながら、砂浜に映し出された長い影を見つめながら歩く
「俺の方が足長いな」
「はいはい」
手を繋ぎながら呆れて笑うアサを見つめる
うん……俺は幸せだ
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