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『ああ……緊張する』
「大丈夫だよ、ほらドレスを」
『あああ……ドキドキする』
ヨルがドレスを着せてくれた
てか、俺は緊張しすぎて何も出来ないんだもん
「サイズはぴったりだな」
『ど、どうしよう』
「はい、座って」
素直に鏡の前に座る
『もう倒れそう』
「今からそんな事言ってどうする」
『だって……』
「よし、出来た」
『ありがとう』
ヨルは髪のヴェールの裾を直し、微笑みながら言った
「すごく綺麗だよ」
『やだな……泣くよ?』
「ちょ!今はまだ泣くな」
『だってぇ~』
「凛、いいか?」
『父さん……』
「俺はアサを手伝ってくるよ」
『ありがとう』
ヨルと入れ代わりに父さんが部屋にやって来た
「凛……」
『あはっ…なんか不思議な感じ』
「驚いたな……母さんにそっくりだ……」
『ちょっと!父さんが泣いてどうするんだよ』
「すまない」
ハンカチで目頭を押さえながら後ろを向いた
俺だって、めちゃくちゃ耐えてんのに……
『父さん……今まで…』
「わかった」
『まだ何も言ってないよ』
「いや、言わなくてもいい……これ以上ないたらハンカチが使えなくなる」
『父さん……』
「凛、お前の選んだ道だ……決して後悔しないようにな……父さんはいつまでもお前の味方だし、お前は誰が何を言おうが私の自慢の息子だよ」
『うんっ』
「きっと、朱雀さんなら幸せにしてくれる」
『うん……』
「凛……おめでとう」
『ありがとう…グスッ』
「凛、いいか?」
「じゃ、また後でね」
『うん』
今度はアサがやって来た
「凛……驚いたな」
『アサ』
「すごく綺麗だよ」
『ありがとう』
「あっ、これは俺とヨルからだ」
『………グスッ』
そう言って渡してくれたのはカラーのブーケ
「百合とか薔薇とかも考えたんだけど、前にドレスを見た時に、カラーが一番似合いそうだったからさ」
『ありがとう』
「うん」
わざわざ朝、街まで行って来てくれたんだ
「凛、そろそろ行くぞ」
ヨルが迎えに来た
ああ……ついにこの日が来てしまったんだ
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