第1話 「誰の仕業?」

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私の前髪は後2回ほど失敗できる長さを保っていましたが、材料が切れたので一時中断です。 念のためもう一度いいます、調合の腕だけは本物ですよ。 魔法学校に通ってたときは調合学だけは首席で卒業しましたから、えっへん。他はギリギリの成績だったことはくれぐれも内密に。 すっかり黒焦げてしまった机から離れて、老朽化が進んだ本棚に本を戻しました。 顔を洗うために汚らしい洗面所に向かいます。 私の美白も煙にやられてました。せっかくの美貌が霞んで見えるのは、私の目がおかしくなったからではありません。 緩やかに流れる艶々とした、しなやかで絹のようなつゆも滴るばかりの黒髪も炎には勝てず、縮れてしまいました。 それでもついさっき咲いた花のような美しさを保ちながら、気高い印象すら他人に与えるのですから私の顔はやはり美しいのです。いつしか世界四代美人になるでしょう。今から楽しみわくわくで仕方がありません。
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