第1話 「誰の仕業?」

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机の上にあるものを乱暴にどかして、女の子を横にしました。よくみると、ほつれ絡み合った下手糞な三つ編みでした。 外傷こそ見当たりませんが、明らかに顔つきが悪いです。 急がなくてはいけません、と言っても原因が分らず、手の施しようがありませんでした。悪質な人間の魔力によるものなら何かしら印があっても良いのですが。 「お洋服を脱がしても構いませんか?」 ご婦人の承諾を得て服を脱がしました。 外傷が無いということは、呪術である可能性があります。身体のどこかに印があれば術の種類が把握できて、それに対応するお薬を与えるだけで済むのです。 ……はて? これはなんでしょう? それは、申し訳なさそうに、ちょこんっと現れました。 実にこぢんまりとしたものです。お淑やかな女である私には、余り見る機会が無いものです。 ……何ということでしょう。この子は女の子ではございませんでした。
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