第1話 「誰の仕業?」

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薬を取りに行くため男の子から離れました。 本来なら急がなくてはならないのですが、焦る姿はクールビューティーな私とはかけ離れているため、平静に事を進めます。 背中から聞こえるご婦人の急かすような声は無慈悲にも私の耳を通過していきます。 確かこの辺だったと思うのですが……。 前にも言ったとおり商品が乱雑に展示されているため私自身全てを網羅しているわけではありません。 ポックリと椿のように死んでいった憎きおばあちゃんにしか使用方法が分からない道具もあります。 ……岩よりも小さく砂よりは大きい岩石が視界に入りました。 いや、ただの石なんですけど、これも魔法道具なのでしょうか? ……まさか、無から火を生み出す石!? それではただの火打ち石です。 でも本当に火打ち石かもしれません、試しにやってみましょう。 「早くしてください!」 遅々とした動きで薬を持ってくる様子がない私に憤ったご婦人は喝を入れてきました。 危なかったです。危うく目的を失うところでした。 私としても幼い子供が亡くなるのはなんとも後味が悪いものです。 迅速に薬を取り出して、速やかに戻りました。それでも輝かしい美を誇るのは私が美人魔女、訳して美女だからに決まってるじゃないですか。
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