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「どうしよう…。男子は6人しかいないのか…。」
友喜名朝之(ゆきなのりゆき)は、クラスの名簿が印刷された、プリントをながめ、ため息をつきながら、呟いた。
「あら?あさえちゃん。女友達が沢山出来てうらやましいわねー。ん?間違えた、ユキナちゃんッ♪」
と軽口で、朝之のセンチメンタルジャーニーを邪魔するのは織本ゆうき(おりもとゆうき)だった。
彼女との出会いは、中学校の図書室で。
先輩に本の貸し出しの指導をしてもらい、新入生だけで、放課後仕事してみよう。
となった時だった。
朝之は、本が好きだ。
ページをめくるたびに、ドキドキする。とよく言われるが、一語一句よむたびに、ドキドキする。
自分の日常では、絶対に使わない言葉、言い回し、それを辞書で調べるたびに、自分は新しい自分になる。
また、作者の心とふれ合っている気がするのも好きだ。
本にはその作者の心がこもっている。
作者が考えていること、思っていること、こんなことに悩んでいる、喜んでいる。
そんな感情が、いつしか、朝之をその本の主人公として、様々な世界を見せてくれる。
そんな、本が好きだった。
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